2007年6月 1日 (金)

ゼロからわかる民法

 このブログ(サイト)の読者や「写真家」「熊探し屋」としての僕しか知らない人には意外なことかも知れないが、僕が専門学校で教えている重要な科目に「法律」がある。正確には、環境問題、特に自然環境とか野生生物とかに関係する法律を中心に教えている。
 もちろん、僕は法律の専門家ではないし、学生達だってそうなのだが、自然や野生生物に関わる問題を扱ったり、まして保護活動に関わろうとすると、こういった法律の知識があるとないとでは物事に対する理解が違って来るのだ。そもそもは、かつて学生時代に別の学校から同様の講議の依頼を受けたのがキッカケだったが、ともかく、僕なりに関係する法律を独学で学んで来た。
 そんな僕が講議で語る法律は、当初は「環境基本法」だったり「自然公園法」だったり「鳥獣保護法」だったり「種の保存法」だったり、ともかく直接・間接に自然や野生生物と関係したものばかりだった。いまでも、こういった法律がすごく重要な位置を占めていることには変わりがない。
 ただ近年、「それだけではダメ」と勉強して講議のテーマにも加えたのが「民法」である。国民一般の日常生活に最も密接に関わる法律で、物の所有とか取引とか、あるいは家族関係や相続に関わる基本的なことが決められている。これがどうして自然に関わるのかというと、例えば「水や空気は誰のもの?」「森は誰のもの?」など、自然物の一次的な帰属(心情論は別にして)の問題への答えがこの法律の中にあるからだ。自然保護関係の法律が定める各種の「規制」は、このような民法上の帰属関係を前提としたうえでの例外措置なので、基礎としてそういったことを知っておく必要があるのだ。
 あと、個人的には高千穂で住む家(土地)を物色している身であるが、不動産取引についても多くの規定が民法にある。最近話題になる、離婚女性が産んだ子供の問題とかもやはり民法の規定に基づいている。
 僕が最初に民法を勉強した時には、既にある程度法律を読んで理解する力が身についていたので、それなりのレベル解説書を参考にした。ただ、専門外の学生にも勧められるような、基礎的なポイントだけをまとめた本がないものか、とずっと探していた。
 で、最近になって発刊されたのが、表題の本である。民法のうち前半の「財産法」の内容を概説している。特に本書前半の「物権」の説明はシロートにも分かりやすい。後半の「債権」の部分は少し高度だが、社会人経験のある人なら理解できるのではないかと思う。
 ぜひ、今話題の民法後半部「家族法」についての続編を望みたい。

 「ゼロからわかる民法」
 川田昇 著/平凡社新書/720円
 

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2007年4月30日 (月)

私たちは繁殖している

 内田春菊の育児マンガに「私たちは繁殖している」という作品があるのは知っていたが、先日妻子と書店に行った際にその文庫版をみつけてしまい、1巻から5巻(注・文庫では巻数の代わりに順に「イエロー」「ピンク」「ブルー」「レッド」「グリーン」とされている)まで、順に買って読み切ってしまった。
 この作品は作者に言わせると、一応「フィクション」ということなのだが、おそらくはほとんどは自身の実体験に基づいた内容。ただ、個性的な生き方と過激なエロ系マンガでも知られる内田春菊がタダの育児マンガで終わるはずもなく、常識にとらわれない、そして時には「決してオススメはしません」と断りの入る出産&育児体験談の数々が面白い。その一方で、リアルタイムに子育てしいてる身としては共感できる記述が多い。「あ、こんな事しているのはうち(の子)だけじゃなかったんだ。」と、感心したり、ほっとしたり。
 そういう意味で、出産・育児の悩みを共感できるママ友が周囲に少ない方に一読をお勧めしたい。また、育児に非協力的な夫に読ませる、というのも手かも。
 単行本では既に6巻・7巻も出ているみたい。個人的には文庫化を待ちたいけど。

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2006年8月27日 (日)

シダの図鑑

 先日福岡出張の際、大手の書店で新刊のシダの図鑑を手に取った。岡山県のアマチュア愛好家がまとめたものだ。
 僕は学生時代に植物学を専攻していたが、特に専門としていたのがシダ植物だった。植物学の世界においても決してメジャーとは言えない分野で、仲間からもよく「花の咲かない植物なんか研究して、面白いの?」とからかわれたものだ。
 シダ植物は確かに花を咲かせないし、一見するとどれも同じように見えるものが多い。僕だって最初の頃は本当に苦労したものだ。だが、その「同じように見えるもの」「目立たないもの」をひとつひとつ丁寧に認識して行くと、実は沢山の種類に分けられる。それが分かってくれば、なかなか面白い植物群なのだ。
 その後、僕自身の努力不足と才能のなさから、僕は植物学(研究)の世界から離れ、同時に「シダ植物」からも遠のいた。しかし、当時「生物の多様性」というものに真剣に向かい合った経験は、ナチュラリストとして生きる今の僕にとっても大きな糧になっていると感じる。
 今回見つけた新しいシダの図鑑は、専門的にシダを研究した経験のある(しかも、かなりの図鑑マニアである)僕の目からしても、かなり良い出来だ。良い意味でのアマチュアリズムに溢れ、「同定(種類を識別すること)を主目的とした図鑑」に徹していて、実用性が極めて高い。著者の手によるという写真図版も、なかなか大したものだと思う。
 かつて、野山でシダを観察しながら採集し、持ち帰っては図鑑と照らし合わせるのが無性に楽しかった、あの初々しかったころの気持ちを思い出させてくれた。
 
 「写真でわかるシダ図鑑」 池畑 怜伸著 トンボ出版

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